授業紹介:マネジメント・ケーススタディ②
会計ファイナンス学科教員の伊勢坊です。
前回(https://www.swukaikeif.jp/class/4026/)に引き続き、担当している授業「マネジメント・ケーススタディ」について、ご紹介します。
今回は、日本航空株式会社 産学連携部 部長 栢沼史好(かやぬま ふみよし)先生にお越し頂き、「航空業界と日本航空について(これまでと現状、そしてこれから)」というタイトルでご講義を賜りました。
最初に、コロナ前の航空業界について、世界、そして日本の状況をご説明いただきました。コロナ前、世界の航空利用者総数は45億人で、日本を含むアジアはコロナ直近5年で40%の旅客数増を誇る最大市場だったそうです。日本が訪日外国人を増加させることに成功した理由を国の成長戦略との関連で示していただき、日本の観光立国政策においても、輸送を直接担う航空会社の貢献は必須であることが述べられました。
ご承知の通り、COVID-19の影響により、人の移動は大きく制限されています。航空業界の収入・利益は世界情勢(景気動向、テロ、戦乱、疾病等)に連動して増減することが説明されましたが、今回のCOVID-19の影響で大規模な減便・運休を余儀なくされ、業績に影響しました。そのような中でも、公共交通機関としての使命を果たすために、必要とされる輸送サービスは提供するとともに、旅客機を利用した貨物専用便を積極的に運航し、緊急性の高い医薬品や食料品などの物流を通じ、ネットワークを支えておられます。また、機内の消毒や抗ウイルス・抗菌加工、職員のマスク着用、空港のパーティション設置や定期的な消毒清掃などを通じ、お客さまの安全・安心のために、感染リスクの軽減に努めておられることを説明していただきました。
最後に、ポストコロナを見据えて、需要構造の変化を意識した新規事業領域への挑戦や、人財力を生かした新しいビジネス展開の方向性についてお話いただきました。また、環境や社会への配慮などによって持続可能な発展を目指すESG経営を通じた世の中への貢献について、地球環境保全対策としてのCO2削減の取り組みをご紹介いただきました。
学生に与えられた課題は、「アフターコロナの世界でJALが創造する、新たな価値とは?」です。学生はCOVID-19の影響による変化を踏まえ、航空事業や関連サービス、また異業種とのコラボレーションといった観点でビジネスを検討しました。
学生が提案したビジネスモデルは、聖地巡礼、伝統文化や日本の昔話にまつわるツアー、飛行機乗り放題のサブスクリプション、テーマパーク新設など、多様性に富み、人気YouTuberとのコラボレーションによる観光地すごろくといった大学生らしい提案もありました。
授業後の学生の感想をいくつかご紹介いたします。
- 日本が観光面で人気があるのは知っていたけれど、観光客が増えたことの要因として、オープンスカイとビザ解禁があることは知りませんでした。魅力的な観光地があるだけではなく、制度面での解禁も重要だということがわかりました。
- コロナの影響を大きく受けた業界の一つが航空業界であり、まだ見ぬアフターコロナのビジネスを想像するのは難しかったが、未来のJALがやってくれたら嬉しいなと思うものを形にできた。
- ビジネスモデルを検討する過程で、「企業の価値」について深く考えることになった。価値という言葉が大きく、自分たちのビジネスプランが価値を作り出せるかという点が難しかった。
上記の通り、「価値を生み出すビジネス」を考えることに悪戦苦闘した模様ですが、よい提案が出来たと思います。
改めまして、日本航空株式会社様、ありがとうございました。
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