朝日生命寄付講座「金融ビジネスのニュートレンド」

 会計ファイナンス学科教員の伊勢坊です。

 会計ファイナンス学科では、企業と連携した実践的な授業も開設しています。今回は、朝日生命保険相互会社様と連携して実施している朝日生命寄付講座「金融ビジネスのニュートレンド」(後期科目)をご紹介いたします。

 この講座は会計ファイナンス学科の学生は2年生以上(ビジネスデザイン学科の学生は3年生以上)が受講可能で、選択科目ではありますが、毎年数多くの学生が受講している人気の科目です。銀行、証券、保険を中心に、金融ビジネスの最前線で働いている実務家の方々をお招きしますので、その業務内容や業界に関する知識を臨場感あふれる形で学ぶことができます。

 10月19日(木)は、朝日生命保険相互会社デジタル戦略企画部 ASAHI DIGITAL INNOVATION LAB 所長の伊勢圭右様、同所長代理の宇山篤志様にお越しいただき、「DX戦略とASAHI DIGITAL INNOVATION LABの取り組み」というテーマでお話しいただきました。

 まず、テクノロジーの変化について、馬車から車、ポケベルからスマホなどの例を示しながら、変化というものは突然に表れ、急に加速するということをご説明いただきました。こと、情報通信機器の変遷は人々の生活やビジネスのあり方に大きな変化を及ぼし、ビジネスの分野ではDXの推進が求められるようになりました。そのような科学技術の進歩や人々の生活の変化に対応すべく、朝日生命保険相互会社様では「ASAHI DIGITAL INNOVATION LAB」というDX推進を専門的に担う部署において、DXの推進に取り組まれているということです。

 「ASAHI DIGITAL INNOVATION LAB」の具体的な取り組みとして、オンラインセミナー、メタバース支店、メタバースイベント等が挙げられ、メタバース空間を見せていただきながら、説明いただきました。特に、就職活動を控える学生にとって、メタバース空間で行われる就活イベントは興味深かったようです。

 最後に、近年は既存の価値観やビジネスモデルが通用しない「VUCAの時代」であることから、「ASAHI DIGITAL INNOVATION LAB」としては、「早く」「小さく」まずはやってみる、既存のサービスに執着しない、業界問わず幅広に情報収集を行うことを大切に考えておられるとお話があり、授業は締めくくられました。

 授業後の学生の感想をいくつかご紹介いたします。

  • 保険会社とデジタルと聞いて何がデジタルに関係するのか想像がつかなかったが、ネットでの保険販売やデジタル署名など自分が当たり前だと思っていたことは時代の変化に応じて開発されて来たものなのだと実感した。
  • DXについて今までお話を聞く機会がありましたが、結局DXとは何なのかわかっていませんでした。しかし、具体例を通してDXに対する理解が深まったため、非常に良い機会になりました。デジタル化が進む中で新たな価値を創出するために、自分たちは何が出来るかこれから考えていきたいと思います。
  • メタバースについて何となく知っている程度の認識だったが、ビジネスに活かす方法を模索されたり、未来を見据えて重点的に研究されたりしている現状を知り、遠い存在のものではなく、近い未来に私たちの日常に組み込まれていく可能性が高いものだということがわかった。今現在、そのような未来が具体的にイメージしにくくとも、これまでの時代の変化を振り返ると、急速に形や常識が変わることは必ず起こることだと感じる。メタバースが多様な分野や方法で実用されるアイディアがたくさん浮かんだため、とても夢のある技術だと感じる。
  • 今回の講義のテーマであった「DX」は今後の日本に重要なことであると思った。「誰かのありたい姿をデジタルで実現すること」は私たちの生活を暮らしやすく変えてくれると思う。しかしデジタルは人間の代わりではなく手助けの手段として用いることが重要だと感じた。また「VUCA」の時代という、将来の予測が困難な状況を示す言葉を初めて聞いたが、固執せずに新しい有益なサービスに乗り移る思考は大切にしたいと思った。

 デジタルに強い世代である学生たちですが、デジタルサービスを供給しているビジネス現場が何を問題とし、そのためにどのような取り組みをしているのか、垣間見ることが出来た貴重な機会になりました。会計ファイナンス学科では、可能な限りビジネスの現場に近いところで学びを深めることを目指しており、本講義は、まさにその目的どおりであったと考えます。