【山田ゼミ3年:地域通貨を先輩に学ぶ】

 皆さん、こんにちは。会計ファイナンス学科教員の山田です。

 先日、私のゼミにビジネスデザイン学科の卒業生、山下梓さんが外部講師として来てくれました。私がこの大学に赴任した時はまだ会計ファイナンス学科はありませんでした。私は山下さんのゼミの先生が他の大学に移籍されるということで、この大学に来て、その先生のゼミ生を引き継いだのですが、その時の学生の1人が山下さん(写真)です。

eumoの山下さん

 

 卒業後は大手リース会社に就職したのですが、自身の夢があり、その後、鎌倉投信のファンドマネージャーをされていた新井和宏氏が立ち上げたeumoという会社に転職しました。現在は、地元の長野県で地域振興の仕事にあたっています。その際に、地域通貨を活用した地域活性化にチャレンジしているのです。

 eumoでは「共感コミュニティ通貨eumo」を発行しています。eumoが目指しているのは「ギフト経済」であり、ギフトした量を「信用」として、現代版の「徳」とする仕組みです。つまり、「共感資本」を集めるということです。簡単に言えば、長野県に「共感」する人に地域通貨eumoを発行し、長野県で使ってもらうということです。通貨は「感謝のメッセージ」の役割を担います。例えば、地域の商店が加盟店になると、eumoという通貨が使用できるということが1つの「信用」になります。つまり、eumoが使えるということは質の高い安全なお店である一種の証明になります。この地域通貨は日本の通貨である円と価値が連動しています。ですから、ビットコインのように経済的価値の裏付けなしに、需給で変動するようなものではありません。株主になると一定割合のeumoが株主に割当てられます。しかし、株式の価値は固定されているそうです。

 ここまで聞いていると、資本主義経済において、大変ユニークな仕組みであると思いませんか?人間は社会的動物であり、営利追求だけを目的に、常に経済合理性を追求しているわけでもありません。価値観は人それぞれです。何がその人の幸福度を高めるのかは千差万別でもあります。まさに多様性の世の中において、山下さんが活躍するeumoという会社は新しい価値観や仕組みを経済社会に提案しています。

 ゼミ生たちは日頃の思考の枠を飛び出して、興味津々と山下さんのお話に聞き入っていました。その後の質疑応答も非常に活発になされました。また、人には様々な働き方、スタイルがあることを学べたと思います。